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<title>０１０１</title>
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<description>祝☆鋼の錬金術師アニメ新作決定！　鋼の錬金術師のロイ・マスタングとリザ・ホークアイが結婚し、産まれた一人娘・ティア嬢。彼女の、華麗で波乱に満ち満ちた日常を描いた、二次創作小説サイトです！</description>
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<title>later letter</title>
<description> 　お互いに、様々なことで忙しくて滅多に連絡がつかない。　いや、別に連絡を取り合うような仲にあるわけではないのだから、全く構わないのだけれど。　1年に1度、この時期になると、手紙がやってくる。　　　　　　　―――　later letter　―――「ロックベルさん、郵便でーす」「はーい、どうも」　その日、自宅のポストに舞い降りた若草色の封筒。　封筒を裏返すと、“FROM：Central”。　となると贈り主は、すぐ分かった。　封筒から
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<![CDATA[ 　お互いに、様々なことで忙しくて滅多に連絡がつかない。<br />　いや、別に連絡を取り合うような仲にあるわけではないのだから、全く構わないのだけれど。<br />　1年に1度、この時期になると、手紙がやってくる。<br /><br /><br /><br />　　　　　　　―――　later letter　―――<br /><br /><br /><br />「ロックベルさん、郵便でーす」<br />「はーい、どうも」<br />　その日、自宅のポストに舞い降りた若草色の封筒。<br />　封筒を裏返すと、“FROM：Central”。<br />　となると贈り主は、すぐ分かった。<br /><br />　封筒からは、数枚の写真と、更に２つの封筒。<br />　淡い水色のその２つの封筒は、送り主も宛て主も違っている。<br />「あ、大佐のところから？」<br />「そう。ティアちゃんの写真付きで」<br />　テーブルの上に乗っていた手紙を見つけて尋ねたアルフォンスに、ウィンリィは写真を振って見せた。<br />「へぇー。わぁ、かわいいね！」<br />　はいはいをしている最中、横のカメラを不思議そうに見つめる姿や、一生懸命につかまり立ちをしようと踏ん張っている姿など、合計10枚の写真を見ながらアルフォンスは言う。<br />「アル、お前そんなこと大佐に言うなよ？　絶対、娘自慢されっから」<br />　“TO：エドワード・エルリック様”と書かれたブルーの封筒を持ったエドワードが背後からそういったので、アルフォンスは少々びっくりしたが、<br />「はい、兄さん」<br />　そんな態度はおくびにも出さずに、呟いた。<br />「何？　えっと……『鋼のへ。元気でやっているか？　ティアの写真が出来たので、送ります。ついでに先日中央に来たときに一緒に撮った写真も同封しておきます』……？　けっ、俺たちの写真がついでだとよ」<br />　肩をすくめてみせたエドワードからウィンリィが手紙を奪い取る。<br />「『近頃、ティアは立つ練習を始めています。そろそろ、はいはいも卒業だ！　はっはっは！　羨ましいか？　だったら君も早く結婚するんだな！』ですってよ、エド」<br />「勝手に人に来た手紙を読むな！」<br />　ギャーギャーわめく２人を、アルフォンスは温かい目で見ていたが、やがて、<br />「あれ、ウィンリィの方の手紙は？　中尉からだったよね。どんなこと書いてあったの？」<br />　気づいて話を振った。<br />「え、あ、私のはどうでもいいのっ！」<br />　そう答えたウィンリィの口調が強いものだったので、アルフォンスはもちろん、エドワードももう何も言わなかった。<br />　―――アルフォンスが黙ったのは手紙の内容を何となく予想したからだったが。<br /><br /><br />＋＋＋<br /><br /><br />それから１年が過ぎた。<br />「ロックベルさん、郵便でーす」<br />「はーい、どうも」<br />　その日、自宅のポストに舞い降りた若草色の封筒。<br />　封筒を裏返すと、“FROM：Central”。<br />　となると贈り主は、すぐ分かった。<br /><br />　封筒からは、数枚の写真と、更に２つの封筒。<br />　淡い水色のその２つの封筒は、送り主も宛て主も違っている。<br />「あ、大佐のところから？」<br />「そう。ティアちゃんの写真付きで」<br />　テーブルの上に乗っていた手紙を見つけて尋ねたアルフォンスに、エドワードは写真を振って見せた。<br />「へぇー。子供ってこんなに早く成長するんだね！」<br />　ブラックハヤテ号と走り回る姿や、カメラに向かってVサインをする姿など、合計10枚の写真を見ながらアルフォンスは言う。<br />「アル、そうよ。子供は日々成長していくんだもの。日常の良いこと悪いこといろんなことを吸収して大きくなるのよ。分かった？」<br />　“TO：ウィンリィちゃん”と書かれたブルーの封筒を持ったウィンリィが背後からそういったので、アルフォンスは少々びっくりしたが、<br />「はい、ウィンリィ」<br />　そんな態度はおくびにも出さずに、呟いた。<br />「何かしら？　えっと……『ウィンリィちゃんへ。お元気ですか？　ティアの写真が出来たので、送ります。ついでに先日中央に来たときに一緒に撮った写真も同封しておきます』……？　あぁ、私が反眼になっちゃったやつだわ」<br />　肩をすくめてみせたウィンリィからエドワードが手紙を奪い取る。<br />「『近頃、ティアはどこで覚えてきたのか、妙に大人な発言をします。ものすごく冷めたコミュニケーションを取るので困ってるわ。ウィンリィちゃんも子育てをするようになれば、きっとこの気持ちが分かるわね。』だってさ、ウィンリィ」<br />「勝手に人に来た手紙を読むないでよ！」<br />　ギャーギャーわめく２人を、アルフォンスは温かい目で見ていたが、やがて、<br />「あれ、兄さんの方の手紙は？　大佐からだったよね。どんなこと書いてあったの？」<br />　気づいて話を振った。<br />「え、あ、俺のはどうでもいいだっ！」<br />　そう答えたエドワードの口調が強いものだったので、アルフォンスはもちろん、ウィンリィももう何も言わなかった。<br />　―――アルフォンスが黙ったのは手紙の内容を何となく予想したからだったが。<br /><br /><br />＋＋＋<br /><br /><br />それから更に１年が過ぎた。<br />「ロックベルさん、郵便でーす」<br />「はーい、どうも」<br />　その日、自宅のポストに舞い降りた若草色の封筒。<br />　封筒を裏返すと、“FROM：Central”。<br />　となると贈り主は、すぐ分かった。<br /><br />　封筒からは、数枚の写真と、更に３つの封筒。<br />　淡い水色のその２つの封筒は、送り主も宛て主も違っている。<br />「あ」<br />「あ、大佐のところから？」<br />「そう。ティアちゃんの写真付きで」<br />　テーブルの上に乗っていた手紙を見つけて尋ねたエドワードとウィンリィに、アルフォンスは写真を振って見せた。<br />「へぇー。わぁ、かわいい！」<br />「へぇー。こんなに成長したのか」<br />　文字の書きとりをする姿や、自転車の補助輪を外して頑張る姿など、合計10枚の写真を見ながらウィンリィとエドワードは言う。<br />「ウィンリィ、そんなこと大佐に言ったらダメだよ？　娘自慢されるから。兄さん、子供は日々成長していくんですだよ。日常の出来事を吸収して大きくなるんだよ」<br />　“TO：アルフォンスおにいちゃん”と書かれたブルーの封筒を持ったアルフォンスがそういったので、ウィンリィとエドワードは少々びっくりしたが、<br />「はいはい」<br />　そんな態度はおくびにも出さずに、呟いた。<br /><br /><br />＋＋＋<br /><br /><br />やがて、<br />「あれ、アルの方の手紙は？」<br />「ティアちゃんからだったわよね。どんなことが書いてあったの？」<br />　気づいて話を振った。<br />「え、あ、僕のはどうでもいいよ！」<br />　そう答えたアルフォンスの口調が強いものだったので、２人とももう何も言わなかった。<br />　―――２人が黙ったのは手紙の内容を何となく予想したからだったが。<br /><br /><br />＋＋＋<br /><br /><br />『ウィンリィちゃんも、そろそろ結婚とかはどう？』<br />『鋼の。そろそろ腰を落ち着けてはどうだ？　一家の大黒柱になって励むのもいいぞ』<br />『アルフォンスおにいちゃん、おげんきですか？　ティアはげんきです。こんどおうちにあそびにきてね。おにいちゃんだいすき！』<br />　―――昔の手紙だって捨てられない。<br /><br />　手紙だからこそ伝わるもの。<br />　電話では決して伝わらないもの。<br />そして、それはとてもとても素敵で。<br />かけがえのないもので。<br />「来年もまた届きと良いね……」<br />３人は誰ともなく、呟いた。<br /> ]]>
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<dc:date>2009-09-21T17:36:03+09:00</dc:date>
<dc:creator>ぃしがみゆぃか</dc:creator>
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<title>おじいちゃんといっしょ</title>
<description> 「誠に申し訳ございません、将軍」「いやいや。こういうときくらいは、せめて親類として扱って欲しいんだけどなー」　　　　　　　―――おじいちゃんといっしょ―――　ある日の昼下がり。「じゃあな、ティア。いい子にしてるんだぞ」「はーいっ！」　東方司令部の1室。　鮭を咥えた木彫りの熊だとか、巨大な棚に乱雑に乱雑に納められた本やらで、他の部屋とは違ったオーラを出しているその室内には二人の人間が残された。「おじいちゃ
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<![CDATA[ 「誠に申し訳ございません、将軍」<br />「いやいや。こういうときくらいは、せめて親類として扱って欲しいんだけどなー」<br /><br /><br />　　　　　　　―――おじいちゃんといっしょ―――<br /><br />　ある日の昼下がり。<br />「じゃあな、ティア。いい子にしてるんだぞ」<br />「はーいっ！」<br />　東方司令部の1室。<br />　鮭を咥えた木彫りの熊だとか、巨大な棚に乱雑に乱雑に納められた本やらで、他の部屋とは違ったオーラを出しているその室内には二人の人間が残された。<br />「おじいちゃま？」<br />「うん？何かな？」<br />　わしの目の前で呼び掛ける少女に微笑む。<br />　少女の名はティア。<br />　わしの孫娘の娘、つまり曾孫にあたる。<br />　だから本来は「おじいちゃま」ではなくて「ひいおじいちゃま」あるいは「おおおじいちゃま」なのだが……。<br />「ここは、おじいちゃまのお仕事の部屋なの？」<br />「その通り。ここはわしの仕事部屋だよ」<br />　飼い犬と共に興味深々でやってきた曾孫は、黄金色の髪を耳の上で2つに結い、漆黒の瞳をぱちぱちさせながらわしに尋ねた。<br />「おじいちゃまは、パパと同じお仕事してるんだよね？」<br />「そうだよ。それが、どうしたんだい？」<br />　ぴょこん、とわしの膝の上に乗っかる。人懐っこい子だ。孫は、あまりそのような子供らしいことをしないタイプだったので少し意外だと思った。きっと、そういうところは父親似なのだろう。<br />「おじいちゃまは、パパの味方？」<br />　5歳児にしては似つかわしくない質問だが。<br />　小柄で、幼顔で、5歳にはとても見えない割にしっかりとした態度の曾孫には、とても似合っていた。<br />「味方だよ」<br />「本当に？」<br />「うん、本当」<br />　良かったぁ、と呟いて、膝から飛び降りる。<br />「おじいちゃまー」<br />「うん？」<br />　わしの座っている椅子の後ろに、椅子を置いている。<br />「肩たたきしてあげるー」<br />　よいしょ、と椅子によじ登り、軽く握った拳で肩をポンポンと叩いてくれる。<br />「おじいちゃまは、ママのおじいちゃまなの？」<br />「そうだよ」<br />　叩きながら、聞く。<br />「じゃあ、ティアから見たら、ひいおじいちゃまなのね」<br />「なのに、どうして『おじいちゃま』って呼ぶのかな？」<br />「だって、『ひいおじいちゃま』って呼びにくいもん」<br />　肩に感じる力は、痛くもなくちゃんとツボに入っている。<br />「いつもお父さんやお母さんの肩を叩いてあげているのかい？」<br />　ためしに聞いてみる。<br />「ううん。ティアがね、『肩たたきする！』っていうとね、『疲れてないから大丈夫だから』って言われちゃうの。そんなわけないのに……」<br />　ちょっと悲しそうな顔だ。<br />「でも、それは、ティアちゃんを疲れさせないように、っていうお父さんとお母さんの優しい気持ちから来るものだろうね」<br />「うん、知ってるの」<br />　叩く手を止め、肩に顔を埋めてくる。<br />「知ってるの。でも、もうちょっとママとパパには休んで欲しいのに……。ティアじゃダメなのかな……」<br />　娘に心配をかけさせたくない。<br />　その一心で、疲れた姿を見せぬように努力する両親。<br />　そんな親の気持ちを察してはいても、悲しむ娘。<br />　―――いや、察しているからこそ、なのか。<br />　とりあえず、互いが互いを気遣うからこそ生じる溝もある、ということだ。<br />　犬が、そんな少女を見て切なそうにクーン、と鳴く。<br />「ティアちゃん」<br />　曾孫の名を呼ぶ。<br />「なぁに？」<br />「大丈夫。お父さんもお母さんも、ティアちゃんがいて嬉しいと思ってると思うよ」<br />　心の底からね。<br />　付け加えたように言うと、首を傾げる。<br />「そうかなぁ」<br />「うん。わしも、娘を育てたときそうだったから」<br />　子育ての経験からよく分かる。<br />「そっかぁ。おじいちゃまがそう言うなら、そうなんだねー」<br />　納得したようだ。<br />　ほっと胸を撫で下ろす。<br />　曾孫が悲しげな顔をしているのは見たくない―――。<br />　なんて、爺馬鹿か。<br />「おじいちゃま、これは何？」<br />　その声に振り向くと、曾孫の指が本棚の一部分を示していた。<br />「あぁ、それはチェスだよ」<br />　示されていたのは、白黒のチェスボードだった。<br />「あ！　それよくおじちゃんたちがやってる！」<br />　……おじちゃんたちって、誰？<br />「おじいちゃま、チェス強い？」<br />「んー、そこそこかな」<br />　少なくとも、君のお父さんよりは強いだろうね、とは言わなかった。<br />　113回（よくもまぁそんな暇があったものだ）中、わしが勝ったのは97回、引き分け15回、負けたのは１回。<br />　強いと言えるのではないか。まぁ、あっちが手を抜いていた可能性は低くないけれど。<br />「おじいちゃま、ティアと一緒にチェスやりましょう！」<br />「えぇ！？」<br />　出来るのかと問えば「教えてもらったから大丈夫！」と自信満々な答えが返ってきた。<br />　心の中で誰かが愚問だったな、と叫ぶ。<br />　賢い両親から生まれ、普段から気を鋭くしなければならない環境にいる。そんな子どもが、生きていくためにつけるのは知恵と、才能と、頭脳だ。<br />「じゃあやろうか」<br />「あれ？　これなんて駒だっけ……？」<br />　……ルールを知っているのか不安になった。<br /><br />＋＋＋＋＋<br /><br />「おじいちゃまは、このお仕事好き？」<br />　小さな手でチェスの駒を掴みながら、曾孫は問うた。<br />「んー。長い間やってるからね。好きとか、そういう域じゃないのかもしれんよ」<br />「じゃあ、軍人さんは好き？」<br />　ボードの上と、わしの顔を交互に見つめる。<br />「ははは、同業者だからなぁ。でも、中には自分と馬が合わなくて、嫌いなやつもいる」<br />　自分（とその一族）が『ちょっと変わった人』に分類されていることは知っている。そのことを、非難したりはしないが、隠れて悪口を言われているのはどうもいただけない。<br />　大体、そういう奴に限って良からぬことを企んでいるのだ。だから、嫌いというよりも苦手だ。<br />「ティアはね、お友達に言われるの。『お父さんたちが軍人なんて怖い。人を殺したこともあるんでしょう？　そんな人殺しの娘のティアちゃんとはお友達になれない』って」<br />「……うん」<br />　声にならない声。<br />「別に、パパもママも何も悪いことしてないのに。ちょっとみんなの幸せと平和を守ってあげているだけなのに……」<br />　頬を膨らませて、不貞腐れたように呟く。<br />　なんと返したものか、言葉が出ない。<br />　ぱくぱくと、金魚みたいに口を開閉する。<br />　そんなわしを、可愛らしい笑みで見つめると。<br />「おじいちゃま？　頭ぐるぐるしてるの？　ごめんなさい」<br />　困惑していることについて謝られた。<br />「いいや。大丈夫。また何か分からないことがあれば聞きにおいで」<br />　こくんと頷いたのを確認し、微笑む。<br />「よいしょ。……チェックメイトなのです！」<br />「おやおや」<br />　いつの間にか、ゲームは相手ペースに乗せられていた。<br />「勝った！　わぁーい！」<br />　これも作戦のうちだったのかはわからないが。<br />「将来が、楽しみだな」<br />　本当に両親に似ている。そう思った。<br />　<br />　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＥＮＤ<br /> ]]>
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<dc:date>2008-09-10T13:56:50+09:00</dc:date>
<dc:creator>ぃしがみゆぃか</dc:creator>
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<title>美味しいアップルパイの作り方</title>
<description> リンゴ1個と、強力粉70㌘。薄力粉85㌘に、グラニュー糖10㌘。砂糖45㌘と牛乳100ｍｌ。無塩バター60㌘、溶かしバター10㌘、卵黄2個。冷水大さじ3と、塩１つまみ、ドリュウル適量。カルバドス酒大さじ１/2と少々、そして、アプリコットジャム適量。これさえあれば、アップルパイが出来るという。　　　　　―――美味しいアップルパイの作り方―――「アップルパイ？」「はい。お上手だって、お聞きしたんですけど……教えていただけませんか？」　
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<![CDATA[ リンゴ1個と、強力粉70㌘。薄力粉85㌘に、グラニュー糖10㌘。砂糖45㌘と牛乳100ｍｌ。無塩バター60㌘、溶かしバター10㌘、卵黄2個。冷水大さじ3と、塩１つまみ、ドリュウル適量。カルバドス酒大さじ１/2と少々、そして、アプリコットジャム適量。<br />これさえあれば、アップルパイが出来るという。<br /><br /><br />　　　　　―――美味しいアップルパイの作り方―――<br /><br /><br />「アップルパイ？」<br />「はい。お上手だって、お聞きしたんですけど……教えていただけませんか？」<br />　ある昼下がり。<br />　久しぶりに中央に旅行に来たウィンリィは、観光がてらに立ち寄ったマスタング家で、ティアにそう切り出されていた。<br />「いいけど……どうして急に？」<br />「両親の元気が無くて……。時期が時期なんで分からなくも無いんですけど……」<br />　時期が時期、とティアが言ったのに対し、ウィンリィは「あぁ」と小さく俯いた。<br />　その昔、誰からも好かれていた心優しい軍人、マース・ヒューズが殺された時期。<br />「それで、よくヒューズさんの奥さんが作ってくれて、ヒューズさんが差し入れとして持ってきて下さったっていうアップルパイを作ってみようかなーって……思って……」<br />「優しいね、ティアちゃん！」<br />　心の温かい親孝行者のティアに向かって、ウィンリィはそう言う。<br />　自分は、孝行のときが訪れることなく両親が亡くなっているので、そういったティアの心がけは何とも可愛らしいと思っていたのだ。<br />「い、いえ！そんなんじゃ……」<br />　照れたように真っ赤に頬を染める少女を見て、ウィンリィは僅かに微笑む。<br />「材料はあるのね？」<br />「あ、はい。まぁ一通りは」<br />「そういやお菓子作りの経験は多いって聞いたけど？」<br />「でも、アップルパイは初めてなんです」<br />　ティアが司令部の軍人にお菓子のおすそ分けをしていることは有名だ。何しろ、貰った男共が大層喜んで自慢しあうので。<br />「ようし！じゃあ飛び切り美味しいのを作ろう！」<br />「はいっ！」<br />　可愛らしい純白のエプロン（ひらひらのフリルつき）を身に着けたティアは元気よく返事した。<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「じゃあ、まずパート・ブリゼを焼こう！」<br />　そう言って、ウィンリィも袖をまくる。レシピが完璧に頭に入っているのを確認し、手順を立てる。<br />１、強力粉、薄力粉、砂糖は、合わせてふるっておく。<br />２、冷たくしたバターを粉の中で刻み込み、アズキ粒大位にする。<br />３、卵黄、冷水、塩を合わせ、（２）に少しずつ加えてまとめ、ラップで包んで、冷蔵庫で30分間以上休ませる。<br />４、長方形にのばして3つ折りにし、これを3回くり返す。<br />５、生地を4mm厚さにのばし、（Ａ）21cm円形1枚と、（Ｂ）21×0.7cmのリボン状を4本とる。<br />６、皿に（Ａ）をのせ、ドリュウルをぬって、（Ｂ）で縁飾りをする。<br />７、縁飾りにはドリュウルをぬる。底部には空気穴をあけて、ガス高速オーブンで200℃前後、約５分間焼く。<br />　流石、日頃からお菓子作りをしているだけあって、ティアは手際がいい。ウィンリィが言ったことを忠実に、テキパキこなしていく。<br />「次に、カスタードクリームを作りまーす！」<br />「はい！」<br />８、厚手の鍋に卵黄、砂糖、薄力粉を合わせ、牛乳を少しずつ加えて、なめらかに溶きのばす。<br />９、火にかけてクリーム状になるまで練り混ぜ、冷まして、カルバドス酒を加える。<br />「にしてもカルバドス酒なんてよくあったねー。普通はあんまり見かけないのに……」<br />「そうですか？よく行くお店にはいつも置いてありますけど」<br />　手が空いてる間、ティアは様々なことを話してくれた。<br />　少しだけ、錬金術の勉強をしていること。<br />　戦争の名残が辺りにまだ漂っていること。<br />　最近、軍人に対する不穏な雰囲気が無くなりつつあること。<br />　懐かしいあの頃には、戻れないと感じるときがあること―――。<br />「で、フィリングをのせます」<br />　あまりにも沈んだような声音で語るティアに、ウィンリィは気を利かせてお菓子作りの方に専念させるべく、会話を打ち切った。<br />１０、リンゴは皮・芯を取り、3mm厚さのくし形に切る。<br />１１、（７）に（９）をのばし、（10）を放射状に並べて、溶かしバターをぬり、グラニュー糖をまぶす。<br />「そしたら、焼きます」<br />１２、ガス高速オーブンで180℃前後、約10分焼く。<br />「最後に、仕上げたら、っと」<br />１３、熱いうちに、カルバドス酒でのばしたアプリコットジャムをぬり、お皿に盛り付ける。<br />「はい、完成～！意外と簡単でしょ」<br />「えぇ。手間隙かけて作ったものは感慨深いものがありますしね」<br />　嬉しそうに、パイを見つめるティアを、ウィンリィは「可愛いなー」と思った。<br />「あのね、ティアちゃん―――」<br />「？」<br />　耳貸して？と言ってみる。別にこの家には２人以外の人間は居ないのだから関係ないのだけれど。<br />「このアップルパイがとっても美味しいのはね―――」<br /><br />　ティアちゃんの、誰かを思う気持ちが愛情のエキスとなって詰まっているからなんだよ。<br /><br />　少女はにっこり微笑んだ。<br />　　　　　　　　　　　　　　　　　ＥＮＤ<br /><br /><br /><br /><br />註：多分、この通りに作るとアップルパイが出来る、はず。<br />私は料理が駄目駄目なので、お菓子作りなんて真っ平。つーか、１度、調理実習でパンケーキ膨らまないわ、クッキー爆発するわで大変だった……。<br />そんな私の得意料理、カルボナーラもどき（あくまでもカルボナーラとは別物）。まぁ食べられるだけマシだ。<br /> ]]>
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<dc:date>2008-08-22T10:23:07+09:00</dc:date>
<dc:creator>ぃしがみゆぃか</dc:creator>
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<title>コードネームは“お姫様”</title>
<description> 「こちらハボック。現在、“お姫様”は学校内に。先程チャイムが鳴ったのでそろそろ出てくる頃かと。……応答願います。もしもし？」「へーい、聞こえてるぞ、ハボ」「はい、僕も大丈夫です」「特に問題はありませんな」「よろしい。では、3人とも陣地につけ！」　　　　　―――コードネームは“お姫様”―――「わんさか学生が出てきたなぁ。あの中に“姫”は、と……。お、いたいた。“姫”はご学友と共に校門に近づいてきます。質問は？」「あの
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<![CDATA[ 「こちらハボック。現在、“お姫様”は学校内に。先程チャイムが鳴ったのでそろそろ出てくる頃かと。……応答願います。もしもし？」<br />「へーい、聞こえてるぞ、ハボ」<br />「はい、僕も大丈夫です」<br />「特に問題はありませんな」<br />「よろしい。では、3人とも陣地につけ！」<br /><br /><br />　　　　　―――コードネームは“お姫様”―――<br /><br /><br />「わんさか学生が出てきたなぁ。あの中に“姫”は、と……。お、いたいた。“姫”はご学友と共に校門に近づいてきます。質問は？」<br />「あのー、少尉。そのご学友というのは女性ですか？」<br />「もちろんだ、曹長。他は？……無いな。今、“姫”が門を抜けて学友と別れて、え！？1人の男子生徒が姫の元へとやって来ます！」<br />「そ、それは！？一世一代の伝説になりうるやも知れぬ『実はずっと前から君のことが好きでした付き合ってくださいてかむしろ結婚して同じ墓に入ってください頼む！』っていう告白というやつか！？そうなのか！？」<br />「……それは違うと思うのですがね、ブレダ少尉」<br />「あー、男子生徒はどうやら“姫”の忘れ物を届けてあげた様子。ノートを手渡しています」<br />「まぁ、ノートで告白ってないでしょうね」<br />「“姫”が頭を下げています。どうやらありがとうと言っているようだ。そして……おっと！手を差し出した！どうやら握手を求めているらしい！」<br />「それでそれで？」<br />「男子生徒も恥ずかしそうに握り返した！“姫”が“姫”が微笑んでいるのをぽーっとしたように見つめている！これは恋に落ちたのか！？ふぉーりんらぶなのか！？」<br />「歩くフェロモンですねー」<br />「困ったものですな。無意識のうちなのでどうしようもない……」<br />「おっと、“お姫様”は学校を出ました。少年は無視です。おそらく街に出るかと。次は頼んだぞ、3人」<br />「了解」<br />「はい！」<br />「もちろんです」<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「もしもし、こちらファルマン。“お姫様”は今本屋にいます。何やら難しそうな顔で本と睨めっこしていますな」<br />「何読んでるんでしょう？学業関係かな？」<br />「いや意外と錬金術かも知れないぞ。なぁ、ブレダ」<br />「料理本の方が絵になるけどな」<br />「ファルマン、見えないのか？」<br />「それがですね、ハボック少尉。店員が立っているんですよ隣に。で、なにやら真剣に話していて……」<br />「それは“姫”狙いだ！」<br />「えぇ、そうでしょう、ブレダ少尉。何故ならば店員がさり気無くボディ・タッチしているからです。鼻の下は伸びきっています。あ、今“姫”がレジの方へと向かいました！先程まで寄り添っていた店員が、レジを通さずに本を渡した！プレゼントするらしい！し、しかも下から何かのチケットを取り出した！あれは巷で人気の映画『マリーにくびったけ』のチケットです！どうやらデートに誘っているらしいです！若いのにやりますな！」<br />「な、何ぃ！？」<br />「“姫”は受け取り……ました！手帳に丸を付けています！そのまま、チケットをポケットに入れて、本を受け取って出ました！」<br />「いいですねー、店員……」<br />「えぇ、私もそう思いますよ、フュリー曹長。ただ気になるのは“姫様”が2枚チケットを受け取ったように見えたのですが……」<br />「気にするな、ファルマン」<br />「次に向かう頃だ。ブレダ、頼んだぞ」<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「こちらはブレダ。今“姫”はお菓子屋へと足を入れました」<br />「あー、“お姫様”は甘いものがお好きですからね」<br />「そうなのか、曹長？」<br />「はい。よくブラックハヤテ号と遊んでいるときにクッキーを頂くんですが、すごく甘いんです。何でも、甘いものが大好きでたまにご自分でも作るらしいです。僕が頂いたのも“お姫様”の手作りでしたから」<br />「……何かズルイなぁ」<br />「“姫”は現在シュークリームを品定め中。店員と仲良くおしゃべりしています。どうやら常連客のようだ」<br />「その店員というのは、男か？」<br />「もちろん。お、今“姫”がショーウィンドウの中を指している。どうやら決まったらしい。店員が箱に詰め始めたな。手が震えているし下手くそだから、アルバイトの奴っぽい」<br />「店員の様子はいかがですかな？」<br />「妙にそわそわしている。詰め終えたようだが……。き、来たぁ！ポケットからちょっと皺の寄った手紙を出した！そして……渡した！お決まりのごとくハートのシールが付いている！」<br />「おぉー！」<br />「やりますな！」<br />「“姫”は困ったように、でも照れているように受け取ったぞ！」<br />「おぉー！」<br />「やりますね！」<br />「そのまま中も読まずにポケットに押し込んだ！そして箱を渡された後に、手を振って去っていく！」<br />「男としてはドキドキですな！」<br />「今、“姫”がお菓子屋を後にした！店員がドアまで駆けてくる！そして、今、今、店員が『ありがとうございましたぁ～！』と大きく手を振った！“姫”が振り返って小さくお辞儀！店員は去っていく背中を愛しそうに見つめている！」<br />「切ねぇなぁ。オレもよく分かる！」<br />「ハボック少尉、今でもフラれた回数が新記録達成しているんですか？大変ですなぁ」<br />「五月蠅い！……次はフュリー曹長だ。頼んだぞ」<br />「はいっ！」<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「今、“お姫様”は花屋へ入っていきました。いつも大佐のデスクの上に飾ってある花は“お姫様”が用意しているんですよね」<br />「……先ほどから疑問なんだが曹長。どうしてそんなに“姫”のことに詳しいんだ？」<br />「え？別に詳しくは……。ただ本人がお話して下さるので……。あ、もしかしてブレダ少尉は知らなかったんですか？」<br />「私もハボック少尉も知らなかったですよ、フュリー曹長」<br />「どうやら後で説明して貰う必要がありそうだな。どうも“姫”は曹長に甘い」<br />「……え？あ！“お姫様”がサクラソウを選びましたよ！ファルマン准尉、花言葉は！？」<br />「確か、『永遠にあなたと共に』ですが」<br />「可愛いとは思いませんか！父親の仕事の机に生ける花の花言葉に真の気持ちを込める。すばらしい娘さんですよ！」<br />「……曹長、後でじっくり話を聞こうか」<br />「言っておきますけど、僕が上司の娘さんと恋に落ちるなんてありえないですから。そもそも親馬鹿すぎて怖いし」<br />「……ならいいですが」<br />「財布からお金を出して払いましたよ！包んでいる店の人、いい年齢のおじさんなんですが、“お姫様”の肩を軽く叩いています。あれはセクハラにはならないんでしょうか！？」<br />「さぁな。……熱いぞ曹長」<br />「包み終わりました！けど、それとは別に、情熱的な愛を示す真っ赤な薔薇を渡しました！1本だけですが、サービスのようです！あ、“お姫様”がぺこりとお辞儀して……貰った！貰っちゃいましたよ！？」<br />「皆に伝える。これより“姫”は司令部に向かうはずだ。以上で追跡は終了。直ちに片づけをして、各自、仕事場に戻れ！」<br />「了解！」<br />「はい！」<br />「分かってる！」<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「お母さん？いるー？」<br />「あら、ティア。お帰りってここで言うのも変ね……。学校から直接来たの？」<br />「うん。だから制服のままなの。あ、これ花瓶に生けてくるね。……あ、ハボック少尉、ブレダ少尉、ファルマン准尉、フュリー曹長、こんにちは。今視察からお帰りですか？」<br />「う、あ、まぁ」<br />「丁度良かった！美味しいクッキー買ってきたんです。お茶にしませんか？あ、もちろんお母さんもね」<br />「いいわね。じゃ、お茶入れてくるわ」<br />「あ、お願いー。そうそう、ハボックさん、先日新しく彼女出来たって言ってましたよね？これ、デートに使って下さい。今人気の映画のチケットです。しかも、ペア！」<br />「（それ、さっき本屋で貰ったやつ……！）いいのか？」<br />「えぇ。貰い物なので」<br />「（店員可哀相に……）じゃあ貰っておく。ありがとう」<br />「あと、ブレダさんには、これ。プレゼントです。『可愛いワンちゃん★大好きっ！』っていうのを本屋で見つけたので」<br />「（あぁ、本屋で貰ってたのはこの本だったのか……）あ、ありがとう」<br />「それと、ファルマンさん。このノート、入ります？世界のくだらないこと、何かトリビアって言うらしいんですけど、それをまとめたノートなんです」<br />「（そのノートは、男子学生が拾ってくれたやつ！）宜しいんですか？」<br />「はい。もう触りたくないくらいなので。どうぞ？」<br />「（あの少年は過去に一体何を……？）頂いておきます、どうもありがとうございます」<br />「あ、それからフュリーさん。これ、差し上げます」<br />「（赤い薔薇！それって……）どうしたんですか、それ？」<br />「花屋のおじさんが『いつも頑張っている眼鏡の軍人さんにあげてくれ』って」<br />「（ぜ、絶対嘘だ！そんなこと言ってなかった！）……貰います……」<br />「じゃ、これを生けてくるので。あ、お父さん」<br />「あ、大佐！」<br />「おや、ティア来てたのか」<br />「はい。あなたの愛する妻は、私が買ってきたクッキーをみんなで食べようとお茶を入れに行きました。きっとお母さんのことだからちゃんとお父さんの分も用意してるよ」<br />「そりゃあそうだろうさ。その花は飾る用のだろう？後は自分でやるよ」<br />「……あのさ、発火布手袋貸して？」<br />「別にいいが、何に使うんだ？」<br />「これを燃やすの」<br />「（あ、お菓子屋からの／以下略）ラブレターを！？いいんですか！？」<br />「私にはいらないし、でも、捨てると跡が残るので。パッチン、と。お父さん、サンキューね」<br />「（灰になった……）じゃあ、俺たちは一先ずこのイタダキモノをロッカーにしまってきまーす……」<br />「クッキー無くならない内に戻ってきて下さいね！」<br />「あ、はい」<br />「本当にこれらありがとう……」<br />「いえいえ」<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「あーあ。あの男たちも浮かばれないなぁ」<br />「まさかプレゼントされるとは……」<br />「てか、ラブレター燃やすって！？何！？」<br />「両親を足して2で割るとあーいう性格になるんですな」<br /><br />＋＋＋＋＋＋<br /><br />「ところで、ティア。あいつらが持ってたあれは？」<br />「んー？私が買い物してたら手に入ったモノ。必要ないし、いらないし、あの人たち私のこと尾行して連絡し合ってたからその当てつけ。お父さんみたくモテモテで、しかもその好意の品をあげるなんて、ちょっとした嫌味でしょ？」<br /><br />　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＥＮＤ<br /><br /><br />註：全部が科白っていうのは、読んでる人は難しいんだけど、好き。<br />“お姫様”っていうのがティアちゃんのコードネーム。<br />ティアちゃんが曹長に甘いのは、ティアちゃん自身の、単なる好み。裏設定で、彼女は意外にも眼鏡スキーさん、という（ちなみに作者もだ）。<br /> ]]>
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<dc:creator>ぃしがみゆぃか</dc:creator>
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<title>残酷な天使のテーゼ</title>
<description> 真っ白な壁に囲まれたセントラルの教会。 その中央にある祭壇の手前に、少女がいた。 正座から、左右に足を崩したような、女の子にしか出来ないアヒル座りでぺたんと座っている。 手を組み、何やら一心不乱に祈っている姿は。「天使……」                 ―――残酷な天使のテーゼ―― 天使が口を開いた。「昔の人々に、『人を殺してはならない。人を殺す者はさばきを受けなければならない。』と言われたのを、あなたがたは聞いています
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<![CDATA[  真っ白な壁に囲まれたセントラルの教会。<br /> その中央にある祭壇の手前に、少女がいた。<br /> 正座から、左右に足を崩したような、女の子にしか出来ないアヒル座りでぺたんと座っている。<br /> 手を組み、何やら一心不乱に祈っている姿は。<br />「天使……」<br /><br /><br />                 ―――残酷な天使のテーゼ――<br /><br /><br /> 天使が口を開いた。<br />「昔の人々に、『人を殺してはならない。人を殺す者はさばきを受けなければならない。』と言われたのを、あなたがたは聞いています」<br /> 聖書マタイ５章４節の一部だ。<br />「しかし、わたしはあなたがたに言います。兄弟に向かって腹を立てる者は、だれでもさばきを受けなければなりません。兄弟に向かって『能無し。』と言うような者は、最高議会に引き渡されます。また、『ばか者。』と言うような者は燃えるゲヘナに投げ込まれます」<br /> 少女の、可愛らしくそれでいて凛とした声が建物内に響く。<br /> 私は、思わず天使のような少女に近付いた。<br /> と、天使が振り向いた。<br /> 足音を立てないように近付いたつもりだったのに……。<br /> 天使なのに、地獄耳なんて。<br />「お姉ちゃん、誰？」<br />「あ、ごめんね、邪魔しちゃったよね……。私、ロゼっていうの」<br /> 少女は、予想通り天使のように可愛らしい顔立ちだった。<br />「ロゼお姉ちゃん？あのね、ティアだよ」<br /> 名前まで天使のようだ。<br />「ティアちゃん、すごいのね。まだ小さいのに、聖書を憶えているなんて」<br />「ううん、すごくないよ。だってここしか言えないもん」<br /> ティアちゃんが立ち上がる。<br /> ポニーテールにされた金色の髪が、左右に揺れた。<br />「お散歩しない？天気いいし」<br /> 大きく伸びをしながら私が言うと「うんっ！」と笑った。<br /> あぁ、天使だ。<br /><br />＋＋＋＋＋＋＋<br /><br />「お姉ちゃんは、神様を信じているの？」<br />「まぁね。ティアちゃんは？信じてるんでしょう？」<br /> ふるふる、と首が横に振られる。<br /> 軽くショックを受けた。聖書を唱えられるくらいだから信じていると思っていたのに。<br />「どうしてお姉ちゃんは信じているの？」<br />「縋るものが欲しかったの」<br /> 両親を失い、恋人も失い、それまで必死になって信じてきた宗教も嘘だと分かり、私にはもう何も残っていなかった。<br /> 他にも神様がいるのなら、それに縋りたかったのだ、と話した。<br />「ティアはね、非科学的なものは信じてないんだ」<br /> こう見えても錬金術師なの。<br /> 芝生の上をぴょこぴょこ歩きながら付け加えるように言った。<br />「錬金術師……！」<br />「お姉ちゃん、恋人を蘇らせたいの？それともお母さん？お父さん？」<br /> 『神に祈れば、死んだ者も生き返ると思っているのか？』と聞かれた気がした。<br />「水35㍑、炭素20kg、アンモニア4㍑、石灰1,5 kg、リン800㌘、塩分250㌘、硝石100㌘、イオウ80㌘、フッ素7,5㌘、鉄5㌘、ケイ素3㌘、その他少量の15の元素、足りない何か。それで人間は出来ているんだよ。大してお金はかからないで人が創れちゃうって理論なんだよ」<br /> その話は、以前に聞いたことがある。<br /> 有名な、まだ幼かった国家錬金術師から。<br />「え、えぇ……。知っているわ……。でも、私はそれに縋るしかないのよ……！」<br /> 随分と手厳しい天使もいたものだ。そして、賢い。<br />「宗教に縋っている訳じゃないわ！別に他でもいい！生まれ変わっても前世の記憶を留めている、っていうレベルでもいい。霊となって私の側にいてくれるだけでもいいの。だから……」<br /> ティアちゃんは良い言葉が見つからないのか、黙ったままだ。<br /> 沈黙は続く。<br /> 無言で歩き続けること数分。<br />「兄弟たちよ」<br /> 突然、ティアちゃんが口を開いた。<br />「私たちがアジヤで会った苦しみについて、ぜひ知っておいてください。私たちは、非常に激しい、耐えられないほどの圧迫を受け、ついにいにちさえも危くなり、ほんとうに、自分自身を頼まず、死者をよみがえらせてくださる神により頼む者となるためでした」<br /> 聖書のコリント人への手紙第2の1章である。<br />「お姉ちゃんは、神様に仕えているんだね。でも、ティアは仕えられないよ……。本当に神様はいるの？いるならどうして人間同士の争いを止めさせないの？どうしてこんな酷いことをするの？どうしてお姉ちゃんばかりがこんな可哀想な目に遭っているの？」<br /> はっとした。<br /> そうだ、どうして神は私にばかりこんな酷い仕打ちをするのだろう。どうして、どうして。<br />「ティアのパパとママは軍人さんなの。この間、犯人にやられて、パパが怪我をしちゃって、だから神様なんて信じてないのに、お祈りなんかしてたの。似合わないって知ってる。こういうときだけ神様を頼る、なんてずるいと判ってる。でも、何もしないと怖くていられないから、少しだけ聖書を覚えて、教会でお祈りをするんだ。いつもは神様なんて信じてないのに、願いが叶うなんて、そんないい加減なことある訳ないよ。でも、叶わなかったら叶わなかったで、神様を恨むだろうと思う」<br /> ぽつりぽつりと言葉が漏れる。<br />「人間はいつだってずるいんだよ、きっと」<br /> いつの間にか1周していた。元の教会の前に2人で立つ。<br />「ずるいんだよ。だからお姉ちゃんもずるく生きなきゃ。過去の人を忘れて、新しく人生やり直さなきゃ」<br /> 教会の鐘がごぉん……と鳴る。お昼だ。<br />「そろそろ戻らないと。お姉ちゃん、またね」<br />「あ、うん……。バイバイ」<br /> 手を振って別れる。<br /> 私の心の中はすっきりしていて、久しぶりに美味しいものが食べたくなった。<br /> 折角セントラルに来たことだし、レストランにでも行こう。<br /> でも、その前に。<br />「神よ」<br /> 祈ろう。<br />「せめて、あの天使のような少女の身に不幸が訪れませんようお見守りくださいませ……」<br /><br />                                     END<br /><br /><br /><br /><br />註：歌の題名（歌詞）を小説の題に用いるのは私の使う手法なので、あしからず（涙）。<br /> ]]>
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